クレジットカードの特徴は多種多様、人のライフスタイルも千差万別。つまり「万人におすすめのクレジットカード」は存在しません。
同様に“正しいクレジットカードの選び方”も言い切れず、「何を重視するか?」ということになりますが、失敗しない賢い選び方はあります。
このページでは、次の内容をまとめました。
- メインカード/サブカードの賢い選び方
- 優先事項ごとのクレジットカードの選び方
気になる項目に飛んでもらうもよし、じっくり読んで「クレジットカードを選ぶ基準」をマスターしてもらうもよし。参考になれば嬉しいです!
目次
メイン/サブのクレジットカードの賢い選び方
一人数枚のクレジットカードを持つのは当たり前の現代。
まずはメインカード/サブカードの考え方、賢い選び方を見ていきましょう。
クレジットカード所有枚数は平均3~4枚?
日本クレジット協会は公開している「クレジットカード発行枚数調査結果」によると、2022年は約2億9,531万枚。統計局のデータによると成人人口が約1億人なので、対比すると一人あたり平均約2.8枚も所有していることになります。
クレジットカードを所有していない若年層、高齢者層もそれなりにいることを鑑みると、3~4枚を使い分けている人が多いと考えられるでしょう。
節約・お守り・グレードアップ
複数枚のクレジットカードを使い分ける基本は、1枚のメインカード+サブカード。
メインカード/サブカードの賢い選び方は、「クレジットカードの役割」を3分類すると非常に分かりやすいです。
分類 | 特徴 |
---|---|
1.節約系 | ポイントやマイル還元が良い、特定の店舗での割引がお得など。 |
2.お守り系 | 旅行保険などが充実していて、出張や海外旅行のお供として優秀。 |
3.グレードアップ系 | 保有コストはかかるが、コンシェルジュや空港ラウンジなどが充実。 |
ただし実際には簡単に割り切れるものではなく、「節約系」と「お守り系」を兼ねたクレジットカードなどもたくさんあります。
メインカードは節約系が主流
「メインカード=最も多く決済に使うクレジットカード」と定義すると、使えば使うほどポイントやマイルが貯まる「節約系」をメインカードにするのが効果的なケースが多いです。
その場合サブカードはメインカードの不足を補うように、「お守り系」や「グレードアップ系」を持つのが吉ですね。
年会費に対してのリターンを考える
複数枚のクレジットカードを使い分ける場合は特に、コスト意識を持ちましょう。
クレジットカードの保有コストは「年会費」なので、年会費が有料の場合は「それ以上のリターンを得られるか?」という視点を持つのがオススメです。
基本的にクレジットカードはランクが上がるほど、年会費がかかる代わりに保険やラウンジ等の特典が充実します。
この例のように年会費をペイできれば、節約・お守り・グレードアップを兼ねることも可能です。
年会費分の恩恵を享受できる自信がないなら、年会費無料のクレジットカードがおすすめです。リボ払いやキャッシングを使わなければ、単純に「得」にしかなりません。
国際ブランドは分けて持つのが吉
サブカードの選び方はとして、メインカードと異なる国際ブランドを選ぶのもおすすめです。
たとえば次のような具合です。
- メインカードがJCBやAmerican Expressなら、サブカードは海外での決済力の高いVISAやMasterCard
- メインカードにVISAやMasterCardを持っているなら、特典が多く国内での決済力が高いJCB
まずは「メインカードの系統を何にするか?(節約など)」を決め、サブカードならメインカードを補う特徴のあるカード。
「重視する目的」を明確にし、それに沿った選び方をすると、あなたにピッタリのクレジットカードが見つかりますよ!
ポイント・マイルで考える!クレジットカードの選び方
最も人気があるのが、ポイントやマイルが貯まりやすい「節約系」のお得なクレジットカード。
「ポイントやマイルを貯めること」を軸にクレジットカードを探すとき、失敗しないための選び方をご紹介します。
還元率のキホン
クレジットカードでポイントやマイルを貯める際、最重要な基礎知識が“還元率”の概念。
平たく言えば「○○円使ったときに○○円分の還元を得られたか?」の割合です。
還元率は「ポイントを使う時」を基準に考える
少しややこしいのが、1ポイントあたりの価値がクレジットカードやポイントの交換先によって異なること。
たとえば100円で1ポイント貯まるクレジットカードでも、次のようなケースが往々にしてあります。
- Amazonギフト券に交換すると100ポイント→100円分
- 有名な○○ポイントに交換すると100ポイント→80ポイント
- ANAマイルに交換すると100ポイント→45マイル
1なら還元率は1.0%、2は0.8%、3は0.45%となります。
ただし実際には、1ANAマイルの価値は特典航空券への交換計算で2~4円と言われているので、正確な還元率の算出は非常に難しくなります。
特定のお店で還元率が上がる
多くのクレジットカードは、基本還元率の他に「特定のお店では○○倍」といった特約店があります。
例えば楽天カードの場合は通常1.0%ですが、楽天市場等での利用時は3.0%に。これが「最大還元率」という概念です。
基本還元率と併せて、よく利用するお店での還元率もチェックして選ぶのが得策です。
ポイントの使い道と貯まりやすさ
せっかくポイントを貯めるなら、還元率が高く貯まりやすいクレジットカードを選ぶのがおすすめ。
ただし、次のような点も考慮しておきましょう。
- ポイントを貯めて何に使うか?
- ポイントの有効期限は?
たとえばオリコカードザポイント等で貯まるオリコポイントは、有効期限こそ1年間と短めですが、Tポイントや楽天ポイントなどの有名共通ポイントやAmazonギフト券など、交換先のバリエーションが豊富です。
楽天スーパーポイントは楽天市場や楽天ペイ等で使えてそれ自体の汎用性が高いので、交換先はかなり少ないです。(ANAマイルなど)
貯めるポイント別の高還元率カードは下記記事でまとめています。
ANAやJALのマイルの貯まりやすさ
日常的にクレジットカードを利用し、航空会社のマイルを貯めたい人も多いはず。
マイルを貯めれば特典航空券等に交換できるので、旅行の機会を増やすこともできますよね。
ANAマイルとJALマイル
SPGアメックスカードのように、ANAマイルとJALマイル両方を貯めやすいクレジットカードも一部ありますが、多くの場合はどちらか一方に分かれています。
ANAマイルとJALマイルは相互交換もできないので、どちらを重点的に貯めるか予め検討しましょう。
JALはプロパーカードがある
JALは公式で発行しているクレジットカード「JALカード」が各種あります。
やはり奥深さはあるものの、カード自体は比較的選びやすいと言えるでしょう。
ANAは提携カードのみ
一方ANAカードは公式発行はなく、提携のカードがたくさんあります。
飛行機に乗らずにマイルを貯める「陸マイラー」が多いのもANA。効率の良い貯め方も多彩ですが、ややこしいとも言えるかもしれません。
ANAマイルが貯まりやすいクレジットカードを選びたい方は下記記事をご覧ください。
利用シーン・目的で考える!クレジットカードの選び方
よく利用するお店や海外旅行用などの「利用シーン」。
あるいは即日発行したい、審査に通れば何でもいい、ステータスが欲しいなどの「目的」。
それらを軸にしたクレジットカードの選び方も、ライフスタイルにマッチしやすいのでおすすめです。
ここでは次のような選び方をまとめました。
- Amazonなどよく利用する店舗
- 海外旅行なら国際ブランドや保険
- 電子マネーやスマホ決済
- 今すぐに欲しいなら即日発行カード
- 審査が不安なら独自審査カード
- ステータスの高さと豪華な特典
それぞれ見ていきましょう。
Amazonなどよく利用する店舗
「よく使うお店で還元率が高くてお得」ということを軸にした選び方もおすすめ。サブカードにも適している選び方と言えます。
例えばAmazonでの還元率で考えてみましょう。楽天カードなら通常どおりの1.0%です。
1.0%なら優秀な方ではありますが、同じく年会費無料カードのJCB CARD WやOrico Card THE POINTならAmazonで2.0%以上の還元率になります。
1.0%と2.0%ではあまり変わらないように感じるかもしれませんが、貯まるポイントは純粋に2倍になります。
コストコなど限定されるケースも
格安でさまざまな高品質の商品を購入できる倉庫スタイルの店舗「コストコ」では、マスターカードブランドのクレジットカードしか利用できません。(以前はアメックスのみだった)
このように国際ブランド単位でクレジットカードを限定している店舗もあるので、メインカードとサブカードを賢く選んで使いこなしたいですね。
海外旅行なら国際ブランドや保険
海外旅行を軸にクレジットカードを選ぶなら、押さえておきたいのが以下の二つ。
- 海外での決済力(国際ブランド)
- 海外での安心感(海外旅行保険)
一枚は持っておきたいVISA/MasterCard
海外のあらゆる地域で使える可能性が最も高い国際ブランドは、VISAかMasterCard。
出張や旅行で海外に行く機会があるなら、どちらかを一枚は持っておきたいところです。
海外旅行保険も重要
万が一海外で病気や怪我をしてしまったとき、医療費は日本とは比べ物になりません。
そんな不測の事態に備えておけるのがクレジットカードの海外旅行保険です。
クレジットカードの海外旅行保険は、大きく分けると次の二つのパターンがあります。
- 利用付帯(旅費をカードで決済していれば適用)
- 自動付帯(旅行に持っていくだけで適用)
メインカードなら利用付帯でも補償額の手厚いものを選ぶのがおすすめですが、サブカードなら自動付帯がおすすめ。(自動付帯なら「死亡・後遺障害」以外の補償は金額を合算可能です。)
年会費無料でも海外旅行保険が自動付帯するクレジットカードはあります。
電子マネーやスマホ決済
よく使う電子マネーやスマホ決済アプリ。それらの利便性やお得度をアップデートさせるクレジットカードの選び方もあります。
例えば楽天カードを「楽天ペイ」に紐づけて使えば、楽天ペイでのポイント還元率が常時1.5%になります。
楽天カードは電子マネー「Edy」も搭載していて唯一オートチャージもできるので、コンビニなどの少額決済が非常に便利になりますね。
Suica連携ならビューカード
しかし一方で、楽天カードではSuicaにチャージしてもポイントが貯まりません。
そんな場合はSuica機能が付いていてオートチャージもでき、チャージでポイントが1.5%も貯まる「ビューカード」を持つのがおすすめ。
電子マネーやスマホ決済サービスによって相性の良いクレジットカードは異なるので、どれをアップデートさせるか?という視点でサブカードを選ぶのもスマートですよ。
今すぐに欲しいなら即日発行カード
「急な海外旅行が決まった!」「突然の出費で金欠…」生きていればそんなシーンも訪れるものです。
そんな時に非常に助かるのが、最短で即日発行できるクレジットカード。
自動契約機で受け取れるカードも
全国各地に多くの自動契約機があり、おそらく最も即日発行しやすいのがアコムの「ACマスターカード」。
特典は良くないですが、デフォルトでキャッシング枠も付くので金欠時にも重宝します。
下記は実際にACマスターカードをオンライン申し込み→即日発行してみた記事です。
審査が不安なら独自審査カード
クレジットカードの審査に通らない…そんな人は「通る可能性」を軸にした選び方もおすすめです。
突き詰めると審査で落ちる理由は次の二つ。
- 申し込み情報(職業や年収など)が悪い
- 信用情報(クレヒス)が悪い
原因が前者にあるなら、身の丈に合う審査難易度が高くないクレジットカードを選びましょう。(一般カードなど)
後者の場合、程度問題ではあるものの審査にはかなり不利になります。
仮に金融事故情報が載っていると(いわゆるブラックリスト状態)、クレジットカードを発行できる可能性は非常に低いです。
残された可能性は、独自の審査基準を持ち、過去(クレヒス)よりも現在(返済能力)を重視する傾向がある「ACマスターカード」あたりでしょう。
ステータスの高さと豪華な特典
クレジットカードには一般<ゴールド<プラチナ<ブラックというランクがあり、ランクとステータスの高さは比例します。
ステータスの高いクレジットカードには、「周りからの羨望の眼差しを得たい」といった願望に限らず、次のようなメリットがあります。
- 社会的信用の証明になる(特に海外)
- 特典が豪華になり、生活がアップグレードされる
ランクが上がると年会費も高くなる傾向があるので、単純なお得さは「特典を使いこなせているかどうか」に依存し、算出は困難になります。
しかし、それを補って余りある魅力を感じられるのであれば、豪華な特典やカードの色を軸にした選び方もおすすめです。
ゴールドカードは種類も豊富!
特にステータスカードの第一歩、ゴールドカードは種類も多岐にわたり、さまざまな特性を持つカードから選ぶことができます。
年会費が安めでコスパが高い、あるいは空港ラウンジを無料で使えるなど、「ゴールドカード×目的」で選ぶと効率よく好みのカードに辿り着けるでしょう。
「年齢や職業」で考える!クレジットカードの選び方
クレジットカードそのものの特典や機能ではなく、「自分の状況(年齢や職業など)」を基軸にした選び方もあります。
その上で「ポイントが貯まりやすい」「保険が充実している」などを比較して絞り込んでいくのがいいでしょう。
新社会人~20代、初心者の方
新社会人を含む20代の方、あるいは初心者の方は、基本的にシンプルなクレジットカードを選ぶのがおすすめです。
たとえば次のような選び方もいいでしょう。
まずは上記のようなバランスの良いクレジットカードを持ち、慣れてきたらサブカードを発行していくスタイルがベターかもしれません。
大学生には学生向けカードがおすすめ
大学生、専門学校生は一般的にフリーターよりも審査に通りやすい傾向にあります。
「学生は学業が本分なので、安定した収入を得られないことに妥当性がある」という理由のようです。
さらに、将来的に自社の優良顧客になり得る「学生」のうちに発行してほしいカード会社も多くあります。
ポイント還元率などの特典が優遇された「学生向けカード」もあるので、まずはその中から選ぶのもおすすめです。
経営者や個人事業主には法人カード
ビジネスシーンで必要になる機会も増えてきたクレジットカード。
法人代表者や個人事業主の方は「法人カード」を持つと公私が明確になり、経費管理も非常に楽になります。
ポイントやマイルも通常のクレジットカードのように貯まるので、たとえば広告費をカード決済したら経費がお得になりますね。
しかも貯まったポイントやマイルは「代表者個人」のものになるので、ある種の特権と言えるかもしれません。
主婦の方は女性向けカードも
基本的には主婦の方はよく利用する店舗でお得な「節約系」のカードを選ぶのがおすすめ。
その上で、楽天PINKカードに代表されるような、女性向けの保険や優待オプションを付けられるカードもあります。
他にもある!クレジットカードの選び方
やや特殊ではありますが、これまでご紹介した以外にもクレジットカードの選び方はあります。
迷ってしまった方は次のような選び方を入口にして、優先させたい特典を比較して絞り込んでいくのがおすすめです。
人気なクレカを選ぶ
所有者が多く、人気があるクレカ。それだけ「選ばれる理由がある」という考え方もできますよね。
2,000人に聞いたアンケートで断トツの人気は「楽天カード」ですが、確かにお得度が高く、人を選ばない万能性も高いように感じます。
上記のようなランキングからざっくりと見ていき、気になった一枚の詳細を見てみる。
それで「自分のライフスタイルに合いそうだ」と思った数枚を比較して決める。そんな選び方もスピーディかもしれませんね。
入会キャンペーンで選ぶ
多くのクレジットカードは入会時にポイントやマイルをもらえる「入会キャンペーン」を実施しています。
カードによって、また時期によって実施されているキャンペーンや取得条件は異なるので、下記のページでチェックしてみてください。
たとえば楽天カードであれば、取得条件も非常に簡単な「5,000ポイントもらえるキャンペーン」が常時開催されています。さらに期間限定で7,000ポイント、8,000ポイントに増加するときもあります。
クレジットカードは解約や発行も少し手間がかかるもの。基本的には長く愛用するのが楽です。
キャンペーンのポイントだけに踊らされず、自分に合う一枚なのか?本質的な観点を持って選ぶのが得策です。
デザイン性で選ぶ
毎日持ち歩くクレジットカードだからこそ、自分の気に入ったデザインのものを…という選び方も入口としてはいいでしょう。
楽天カードのように多くの種類から券面デザインを選べるクレジットカードもあります。
みんながアンケートで選んだ「かっこよさ」、そこから気になった一枚を比較して選ぶのもいいかもしれません。
ETCカード等を基準に選ぶ
ETCカードや家族カードを追加発行できるクレジットカードもたくさんあります。
中には年会費も発行手数料もかからずETCカードを発行でき、高速道路やガソリン代を節約できるクレジットカードも。
下記記事でまとめているのでご覧ください。
クレジットカードの選び方まとめ
このページでは、メインカード/サブカードの賢い選び方と使い分け方法、そして優先事項別のクレジットカードの選び方をまとめました。
日本国内だけでも、クレジットカードの種類は数百種類をゆうに越えています。それぞれ特色が異なるので、選ぶのも大変ですよね…。
実際に発行して使ってみないと分からない部分も非常に多いので、調べて比較して作り、そこで初めてわかる「自分が求めるクレジットカード像」もあります。
ライフスタイルが変容すれば、自分にとって正しい選び方も変わります。
常にアンテナを張り、賢くクレジットカードを使い分けていきたいですね!