
過去に度重なる滞納・債務整理などを理由にブラックリストに載ってしまい、クレジットカードは今後作成できないと思っている方は多いのではないでしょうか?
しかし、実際には何となく「ブラックリスト = 審査を通らない」とイメージで決めつけてしまい、ブラックリストのことを詳しく知らないままの方も多いです。
この記事では、ブラックリストの概要からブラックリストに掲載されていても作成可能なクレジットカードがあるのかという疑問にも焦点を当てて解説します。
目次
ブラックリストとは信用情報機関に登録されている事故情報

厳密に言うと金融機関には「ブラックリスト」と呼ばれるものは存在しません。
信用情報は、「信用情報機関」が管理しており、ローンやクレジットカードなど信用取引をする際に、取引情報が登録されます。
日本における「信用情報機関」は「CIC(シーアイシー)」「JICC(日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行個人情報センター)」の3つ。
私たちが使用する「ブラックリスト」とは、信用情報機関に「事故情報」が登録されていることを表す俗称であることを覚えておきましょう。

信用情報機関に登録される情報
信用情報機関はいくつかあるのですが、おおむね次のような内容を登録しています。
- 本人に関する情報(氏名・生年月日・勤務先など)
- 契約内容
- 返済に関する情報(入金内容や入金予定・残債務額・延滞の有無)
- 取引事実に関する情報(債務整理や自己破産など)
「ブラックリスト」というものは存在しない
前述したように「ブラックリスト」というものは存在しません。
「ブラックリスト」というものは実際には存在せず、単にデータベースに債務整理・金融の事故情報が登録されているにすぎないのです。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 |
支払い状況 | $ | $ | A | A | A |
信用情報は、上記の表のような形で過去2年間分の支払い状況を記録しており、「$」は正常に支払いが行われていること。「A」は支払いが行われていないことを表しています。
この「A」が3ヶ月以上続いてしまうと、返済状況という欄に「異動」と記録されることに。
これがいわゆる「ブラックリストに載る」と表現されているものです。
「異動」と記録されてしまう行為はいくつかありますのでご覧ください。
-
- 3ヶ月以上未入金の場合
-
- 債務整理を行なった場合
-
- 債務者以外(保険会社など)が返済を行なった場合=代位弁済が行われた場合
信用情報を確認する方法
信用情報は貸金業者に開示請求をすれば開示をしてもらえます。
JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センターそれぞれ信用情報機関は信用情報の開示に応じており、郵送での開示も可能。
情報交流CRINとは
情報交換CRINとは、用情報機関が総合的に情報を交換するためのシステムのこと。
金融機関は特定の信用情報機関に加盟して信用情報を確認したり、信用情報機関への報告をしています。
信販会社はCICに加盟していることが多く、消費者金融はJICCに加盟していることが多いです。
例えばCICに事故情報が登録された際は、その顧客情報をCRINを通じてJICCに共有し総合的に顧客のステータスを管理しています。
事故情報はいつ削除される?
事故情報である異動の文字が削除される期間は、登録の経緯や機関によって少し異なります。
信用機関登録内容 | CIC | JICC | KSC |
---|---|---|---|
延滞 | 5年 | 1年〜5年 | 5年 |
代位弁済 | 5年 | 5年 | 5年 |
任意整理 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 |
個人再生 | 5年 | 5年 | 10年 |
上記で紹介したように信用情報を開示することにより自分の事故情報について確認することができますので、「5年立ったから大丈夫」などの自己判断はせずに確認を行いましょう。
また、事故情報が削除された=クレジットカードが作れるというわけではありませんので注意が必要です。
ブラックリストに載る原因は?

次に、どのようなことが原因でブラックリストに掲載されるのかを解説します。
ローンの支払いを遅延している
ローンの支払いを延滞してしまうと、個人信用情報に「事故情報」が登録されてしまいます。
基本的には連続で3ヶ月引き落としが掛けられない場合は、ブラックリスト状態となってしまい、最低でも5年間は事故情報が消えないため、注意しましょう。
このローンには奨学金・消費者金融への返済・商工ローンも含まれます。
携帯の支払いが未払い
携帯電話料金・携帯電話端末ローン支払いが滞った場合にも、ブラックリストの対象となります。
大切な点は、ブラックリストへの登録は購入商品の金額は全く関係ないということ。
少額支払いの料金でも未払いが続いてしまうと、事故情報登録となりますので気を付けましょう。
クレジットカードを短期解約を繰り返すような場合
以上のような事故情報ではないのですが、クレジットカードの短期解約を繰り返すような場合、ブラックリストと同様にクレジットカードを作れなくなることがあります。
クレジットカードに加入すると加入特典がもらえることがありますが、これを見越してクレジットカードに加入するも、特典だけもらって短期で解約する、ということを繰り返す人がいます。
この履歴は実は信用情報機関に残り、この人は特典だけもらってすぐに解約する人であるという推測がたてられます。
そのため、ブラックリストにはなっていなくても、クレジットカードの利用ができないケースもあります。
代位弁済を行った場合
代位弁済が行われると、信用情報に登録されます。
代位返済とは、滞納している債務について保証会社が代わりに支払いのこと。
一般的にお金を借りる際には、保証会社が債務者の連帯保証をします。
お金の返済が滞ると、債権者は保証会社に保証人としての支払いを求め、保証会社がこれに応じて債務者の代わりに返済をするのです。

債務整理を行った場合
債務整理(自己破産・任意整理・特定調停・個人再生)を行なった場合にも、ブラックリストとして事故情報が登録されてしまいます。
未払い・延滞などと比較しても、債務整理の場合は個人信用情報取扱会社が重く見る傾向にあり、審査結果はより厳しくなるケースが多いです。
債務整理をするとクレジットカードが作れないのはなぜ?


債務整理をするとクレジットカードを作れないのは、このブラックリストが関係しています。
上記でご紹介したように、債務整理を行うとブラックリストに載ってしまいます。
クレジットカードはショッピング枠でもキャッシング枠でも、一度決済をして後から支払ってもらうという与信行為が発生する取引となるため、クレジットカードを作る際には今までの取引履歴などに問題がないかなどを審査します。
そして、その審査をするにあたっては信用情報を参照しますので、そこに問題が有ると審査に通ることはできません。
クレジットカードは作れる?ブラックリストに載ると起こること

信用情報機関に自分の事故情報が載ってしまった場合、つまりブラックリストに載ってしまった場合には、どのような問題が発生するのかを紹介します。
クレジットカードの審査に通りずらくなる
クレジットカード審査は「過去のクレジットカード取引実績」「勤務先の勤続年数」「年収」「居住地の家賃」などを細かく審査します。
理由としては、クレジットカードはお金が後日請求される「信用」を用いた取引であるため。
そのため、「過去に度重なる延滞があった」「債務整理を行なった」などの「事故情報」が登録されてしまった場合は、クレジットカード会社も審査に落とすことが多いと言えます。
クレジットカードの更新ができなくなる可能性がある
なお、クレジットカードについては一定期間経過すると更新されます。
この更新の際には信用情報機関の情報が参照されるため、ブラックリストになっているとクレジットカードの更新もできない可能性が高くなります。
車のローン、住宅ローンが組めなくなる
車・住宅などの高価な商品については多くの方が自身の勤めている会社での収入、キャリアプランなどを想定して長期間のローンを組むのが一般的です。
しかし、滞納・法的措置などを行ない、「信用情報機関」に「事故情報」が登録されてしまうと、新規でローンを組むことができなくなってしまうのです。
車・住宅以外にも、基本的には全てのローンを組むことができなくなることから、携帯電話端末なども一括での購入が必要となるでしょう。

キャッシング、その他ローンが利用できなくなる
ブラックリストに登録されてしまうと、突発的な出費があった場合に、消費者金融・銀行キャッシングローンなどでお金を借りることが出来なくなります。
債務整理を行なった場合には、自身のお金の管理を見直す上でキャッシングを使えないことは良い方向に働きますが、突発的な出費が有る際には不便に感じてしまうでしょう。

連帯保証人になることができないことがある
家族や知人が借り入れをする際に、連帯保証人となることがあります。
連帯保証人も信用情報で審査されるので、ブラックリストになっていると連帯保証人になれない可能性が高いです。
最も注意が必要なのが奨学金で、子が進学する際に奨学金をもらうときに親が連帯保証人になれないことがあります。
ブラックリストに載っていても作れるクレジットカードはある?

「ブラックリストに載ってしまった場合はカードが作れない」と多くの方が思いがちですが、一概にそうとは限りません。
次に、「ブラックリスト」に掲載されていても、クレジットカードは作成可能であるかを解説します。
100%審査に通らないわけではない
「ブラックリスト」に登録されている場合でも、クレジットカードの審査に通る場合は極稀れにあります。
例えば、過去に支払いを延滞してブラックリストに登録されたが、現在は仕事・収入も安定し数年間延滞がない場合など、可能性は決して高くはないですが通ることも十分にあります。

しかし、債務整理などの法的措置についてはどの個人信用機関も基本的には厳しい姿勢を貫いていることから、事故情報が掲載されている間はクレジットカード審査を通すことは高確率で難しいと判断して良いでしょう。
デビットカードなら作成可能
現段階でブラックリスト状態の方も、デビットカードなら作成可能。
デビットカードは信用取引であるクレジットカードとは違い、利用すると同時に銀行口座から代金が即座に引き落とされる仕組みとなっているため、信用情報が必要ないためです。
プリペイドカードも作成可能
プリペイドカードも、ブラックリストに登録されてしまった方でも審査なしで作成することが可能。
プリペイドカードとは、あらかじめカードに一定金額のお金をチャージしておくことで、チャージした分の商品を購入することが可能となるものです。
自身の所持金額からチャージして使うカードであることからクレジットカードと違い、無駄遣いなどが起こりづらい点もメリットと言えるでしょう。

ETCの場合はパーソナルカードを利用
審査なしで作れるクレジットカードはある?

クレジットカードを作成する際には、個人信用情報取扱会社の審査が必要になります。
しかし、ブラックリストに登録されている方に向けて審査なしでクレジットカードは作成できるのでしょうか。
この疑問について解説していきます。
審査のないクレジットカードはない
結論からお伝えすると、審査を通らずにクレジットカードを作成する手段は現在ありません。
審査の難しさなどはカード会社によってばらつきはあるものの、審査は必ず行われるものであると覚えておきましょう。
過去に債務整理を経験している方については、前述したデビットカード・プリペイドカードなどを生活の中に取り入れることが大切です。
家族カードなら可能
ブラックリストに登録された方がクレジットカードを持つ方法としては、「家族カード」を持つこと。
家族カードの場合、信用情報は契約した方のもので作成されることから、問題なく利用が可能となります。
しかし、例外として過去にブラックリストに登録されたきっかけのカード会社で発行する場合には注意が必要です。
家族カードを申し込みする際に、家族全員の名前などを申請した際に「個人信用情報」を照会され、ブラックリスト状態であることが判明するケースがあるためです。
このような場合には、クレジットカード自体の審査が通らなくなる可能性もあるため、注意が必要です。

ブラックリスト期間中にやってはいけないこと


ブラックリスト期間中にやってはいけないことがあるので知っておきましょう。
審査に落ちる理由を何度も聞こうとする
信用情報機関や貸付を依頼した貸金業者に審査に落ちた理由を何度も聞く方がいらっしゃいます。
審査の落ちた理由の回答は通常行なっていませんし、このように執拗に質問することで、その会社でその履歴を残されることになり、信用情報が回復した後の審査にも影響する可能性があります。
審査に落ちる理由を何度も聞くのは得策ではありません。
複数の会社に申し込む
ブラックリスト期間中に申し込んだ旨も、信用情報の記録として残ります。
一か八かで申し込みを複数の会社にすると、その旨も記録されてしまいます。
その情報を見た担当者は、あちこち申し込みをしている事実を見て、お金に困っており今貸付をするのは危険だ、という判断をしてしまう可能性があります。
複数の会社に申し込みをするのはやめましょう。
申込の際に、虚偽の内容で申請する
申し込みをする際に虚偽の内容で申請をする方がいます。
虚偽の内容で申請をするのは詐欺罪に問われる行為になり、以後の審査にも大きく影響します。
絶対に虚偽の内容で申請するのはやめましょう。
信用情報回復後、審査に通るためのポイント


信用情報が回復した後に、審査に通るためのポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。
同じ会社・その関連会社には申し込まない
債務整理の対象となった会社やその関連会社には申込みをしないようにしましょう。
債務整理の対象となった会社に申し込みをしても、信用情報の他に社内で債務整理をした情報が共有されるので、借り入れができません。
金融系は銀行を筆頭としたグループになっているので、系列会社への申込みについても同様に考えておくのが良いでしょう。
申請時のキャッシング枠は0円に設定
クレジットカードをつくる際にキャッシング枠をいくらにするかを設定できます。
単にクレジットカードを作りたいだけであれば、キャッシング枠は0円もしくは一番低い額にしておくと、審査も通りやすいといえます。
申告内容に相違がないようにする
当然ですが申告内容に相違がないようにしましょう。
申告内容に相違があると確認をする際に「どうして相違があるのか、よく調べないといけない」という心証を与える可能性があるからです。
固定電話番号があれば申告
電話番号として携帯番号のみを申告する人が多いです。
しかし、固定の電話を引いているのであれば、固定の電話番号があれば同時に申告しておきましょう。
クレジットカードの利用で債務整理を繰り返さないように注意すること


実は債務整理を繰り返す人も多いです。
債務整理を繰り返さないためにどのような注意が必要でしょうか。
買い物は現金一括で行う
買い物などは現金一括で行いましょう。
クレジットカードの利用で債務整理をしたことがある人は、分割で高価なものを買う癖がついてしまっています。
きちんとお金をためて一括で購入したほうが、安いし金利もかからないので、大幅に得をすることが多いです。
リボ払いは絶対に利用しない
債務整理に陥る人は「リボ払い」を多用します。
リボ払いとは?
リボ払いとは、毎月の返済額が変わらず、利用残高に応じて元金・利息の割合が変わる返済の方法をいいます。
毎月の返済額が変わらないので、安心して利用できるというメリットがあり多くの人に利用されます。
リボ払いを利用しては行けない理由
リボ払いは毎月の返済額が変わらないので、残額を把握せずにどんどん使う可能性があります。
そのため、自分では頑張って返済している感覚があって、返済しているから使って良いだろうと思ってしまいます。
しかし、実際に返済のほとんどが利息に使われており、元本が全く減っていない中で繰り返し利用をして、利用額を増やすことになってしまうのです。
利用金額を把握する
毎月返済額のみを気にして、利用している金額がどれくらいになっているかを把握しないで利用を繰り返す方が多いです。
利用金額を把握して、返済のめどがあるかどうかをこまめにチェックするようにしましょう。
まとめ

この記事では、ブラックリストの概要から「ブラックリストに登録されていてもクレジットカードを作成できるのか」などの疑問について解説しました。
自身の個人信用情報が気になる場合には、信用情報期間に対して開示請求を行うことが可能です。
「自分の信用情報はどのようになっているのか」を知る上でも、開示請求を必要であれば行うことが求められます。
また、クレジットカード作成可否以外のことを含めて、今後債務整理を考えている場合には、無料相談などを利用して弁護士に相談を行うのも良いでしょう。
個人法律事務所への相談に抵抗がある場合には、各自治体で活動を行なっている弁護士会などを利用した無料相談を利用するのもおすすめです。
最後に、ブラックリスト状態になってしまった場合には、クレジットカード作成やローンを組む際には大きな負担が発生します。このような情報を踏まえた上で、今後の判断の参考になれば幸いです。