
自営業者の方なら、老後のために国民年金はきちんと支払っておきたいもの。
毎月の支払期日に遅れても、2年以内なら手数料もなく追納できます。ですが現金がなく、とりあえずクレジットカードで支払いたい人もいるでしょう。
残念ながら追納時にはカード払いの手段は無いのが現状です。
それでも、間接的にカードから支出する方法ならわずかながらあります。この記事でご説明します。
併せて、国民年金を期日にちゃんと支払う人のための、さらにお得な支払方法もお知らせします。
目次
滞納した国民年金はクレジットカード払いできない
- 国民年金のカード払いは引き落としのみ
- 納付書のカード払いは現状不可
- 納付書を電子マネーで支払う方法、電子マネーにクレジットカードからチャージする方法はある
国民年金の保険料は、口座振替えやクレジットカード引き落としを設定していなければ、月別の納付書で支払う必要があります。
納付期日に遅れても、2年間は納付書で支払えます。
支払う際、コンビニでクレジットカード払いができれば助かります。ですが、国民年金だけでなく、ほとんどの公共料金・収納代行は、カード不可です。
国民年金のカード払いは引き落としのみ
国民年金も、期日に引き落としならカード払いが可能です。
個別の納付書では、カード払いする方法は、現在のところありません。
公共料金は、次のいずれか、あるいは複数に対応しているものが多くなってきました。
- クレジットカードでの引き落とし
- Yahoo!公金等の公共料金支払いサイト(手数料本人負担)
- QRコード決済
国民年金については、現状1だけです。
2、3のいずれかに対応してくれないと、納付書でのカード払いはできません。
すでに多くの料金支払がQRコード決済(残高払い)に対応済みなので、ここに国民年金が加わる可能性はかなり高いでしょう。
au PAYなら、多くのカードからチャージ可能なので、間接的にカード払いできるようになります。
ただしコンビニでの追納に工夫の余地あり
Wed, 30 Aug 2023 10:10:04 +0000現在では、国民年金の納付書を、カード払いする方法はありません。
ただし、電子マネー等を使い、間接的にカード決済する方法が多少あります。次の通りです。
- クレジットカードから電子マネーにチャージ
- 納付書を持って、電子マネーに対応するコンビニへ
- チャージした電子マネーで代金を支払う
電子マネーにクレジットカードからチャージできる場合、支払い原資の問題が解消します。
コンビニと電子マネー等とが、同系列でないとなりません。組み合わせは次の通りです。
- セブンイレブン × nanaco
- ミニストップ × WAON
- ファミリーマート × ファミペイ
※ファミペイは正確には電子マネーでなく、QRコード決済
ただし通常の買い物と異なり、支払ってもポイントが付かない点は認識しておきましょう。
それでも、クレジットカードによっては、チャージの際にカードのポイントが付きます。次に見てみます。
コンビニでクレジットカードのポイントを得る方法
電子マネーを使って国民年金の追納をするとして、さらにポイントが貯まればなお嬉しいはずです。
チャージするクレジットカードと適切に組み合わせると、ポイントが貯まります。
- セブンイレブン × nanaco × セブンカード・プラス
- ミニストップ × WAON × イオンカード・セレクト
- ファミリーマート × ファミペイ × ファミマTカード
イオンカードセレクトは、イオン銀行一体型で、電子マネーWAONへのチャージ時にポイントの貯まる唯一のイオンカードです。
オートチャージはできるものの、通常のイオンカードと違い、随時のクレジットカードチャージができません。それでも、オートチャージ額を最大49,000円に設定できるので、国民年金の滞納分をまとめて支払うことはできます。
上記の各組み合わせによるクレジットカードからのチャージ時ポイント還元率は、いずれも0.5%です。
国民年金の滞納を解消する際、まず上記のカードを申し込んでみてはどうでしょうか。
納付書払いの滞納があっても、カード審査には一切関係ありません。
納付期限前の国民年金はクレジットカード引き落とし可(前納もOK)
国民年金は、直接クレジットカード決済にしようとするなら、現状では引き落としにしないとなりません。
現在、滞納した国民年金をなんとか支払おうと思っている自営業者の方も、引き落としを検討してみてはいかがでしょう。
国民年金引き落としのカード決済日は、毎月14日より前
国民年金引き落としのカード決済日は、「月初から8営業日目、最も遅くて月の14日」となります。
15日締めのクレジットカードの場合、翌月10日頃に引き落としというケースが多いでしょう。
末締めのクレジットカードの場合、翌月25~27日頃の引き落としが多くなります。
カード引き落としは手書きと郵送で
カード引き落としを申し込む手続きです。
国民年金は現状、引き落としのオンライン申請はできません。
納付の電子申請ができないという以前に、引き落としをオンラインで申し込む方法すらない状態です。
申込用紙を手書きで記入して、年金事務所に郵送しましょう。
Excel対応の用紙も用意されていて、ワープロ打ちは可能です。
以下、カード引き落としを申し込む手順です。
- こちらのサイトから「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」用紙をダウンロードする
- 手書き用の用紙は印刷する
- 用紙に記入する(手書きの場合捺印不要)
- Excel用紙をワープロ打ちした場合、印刷後、必ず捺印すること
- 管轄の年金事務所に郵送
申請用紙には楽天・JCBをはじめ21のカードブランドが書かれています。
すべての国内発行クレジットカードで支払い可能です。アメックス、ダイナースにも対応しています。
お持ちのカードブランドが一覧になくても、「VISA」「Mastercard」など国際ブランドに基づいて選択すればOKです。
管轄年金事務所がわからないときは、日本年金機構のサイトで調べてください。
毎年2月頃届くので、お持ちかもしれません。
お手元になくても気にしないで、用紙をダウンロードしてください。
手続きは時間が掛かる
公共料金の引き落とし開始までは、時間が掛かります。
用紙を出力して郵送する国民年金の場合、なおさらです。
申込みから、引き落としの実施までは2ヶ月以上掛かることもあるので、早めに手続きしましょう。
なおタイミングによっては、引き落とし開始時、2ヶ月分同時ということもあります。
楽天カードはおすすめしない
人気の楽天カードでも、国民年金をはじめとした公共料金の引き落としはありますが、2021年6月より公共料金の引き落としのポイント還元はわずか0.2%となりました。
キャッシュレス派ならもったいないので、他のカードをおすすめします。
他には、アメックス(プロパーカード)やダイナースの公共料金引き落としの還元率が、通常の半分となっています。
カード引き落としは前納にも対応
毎月引き落としをきちんと実行できる人ならば、もうひとつステップアップしてみませんか。
国民年金をまとめて前納すると、保険料が割引になります。
前納も、カード引き落としが選べます。
前納は以下3種類です。2022年現在の金額(割引額)も掲載します。
引き落とし額 | 値引額 | |
---|---|---|
2年 | 382,780円 | 14,540円 |
1年 | 195,550円 | 3,530円 |
6ヶ月 | 98,730円 | 810円 |
毎月 | 16,590円 | - |
前納は、専用の用紙で申し込みましょう。管轄年金事務所への郵送が必要です。
国民年金をクレジット払いするメリット
国民年金の支払いはまとまった金額になりがちです。
そのため、クレジットカードを利用して、少しでも支払いの手間を減らしたいと考える人も多いのではないでしょうか。
本項では、国民年金をクレジット払いするメリットについて解説します。
自宅からでも支払いができる
国民年金の支払いは、基本的に納付書を使ってコンビニ等で行う必要があります。しかし、忙しい時期など、支払いのための時間も惜しいときがありますよね。
そこでクレジットカード引き落としを設定すれば、コンビニに出向くことなく支払いが行われます。
時短とともに、支払い忘れを回避することもできるので、忘れっぽい人にもおすすめです。
ポイント還元を受けられる
クレジットカードで国民年金を支払うと、その金額にもポイントやマイルが貯まる可能性があります。
国民年金はまとまった金額になりがちですので、たとえ1%でもポイント還元が受けられるなら大きな違いになるでしょう。
実際の支払いタイミングを先延ばしできる
国民年金を現金納付する場合、支払い時にお金を用意しなければなりません。
ですが、クレジットカードで支払うことで、実際の支払いタイミングをクレジットカードの決済日まで先延ばしすることができます。
家計と支払いを一元化できる
クレジットカードはWebサイトなどで決済記録を簡単にチェックできるので、国民年金をいつ支払ったかの把握が容易になります。
家計と一元化することで、やりくりもしやすくなるでしょう。
国民年金をクレジット払いするデメリット
クレジット払いには事前申請が必要
現状、国民年金をクレジットカードでそのまま支払う方法はありません。口座引き落としと同じく、事前申請を行うことで初めてクレジット払いが可能となります。
申請後にも日本年金機構による審査があるため、すぐにクレジット払いできるわけではないという点には注意が必要です。
一回払いしかできない
クレジット払いをするときに便利な分割払いやリボ払いですが、国民年金の支払い時にはそれらを利用することができません。
一括で年金を払う場合には大きな金額になりますので、特に注意しておきましょう。
ポイント還元されるかどうかはカード次第
クレジットカード払いの大きなメリットであるポイント還元ですが、対応しているカードとしていないカードがあります。
クレジット払いのための煩雑な申し込みをクリアしたのに、ポイント還元が受けられない……なんてことにならないよう、事前にカードのチェックはしっかり行いましょう。
国民年金のクレジットカード払いのよくある質問
国民年金のクレジットカード払いに関する、よくある質問にQ&A形式で回答します。
国民年金の2年前納はいつまでに申し込む?
2年前納をカード引き落としにするためには、毎年2月末までに申し込んでください。
1年および6ヶ月の前納も同様です。
国民年金を支払うカードを変更するには?
引き落とし用クレジットカードの変更は、再度申請書を記入・提出してします。
新規申込と同じ用紙を記入して、管轄の年金事務所に送付してください。
変更まで2ヶ月以上掛かることもあります。
国民健康保険もカード払いできる?
国民健康保険は自治体ごとに異なりますから、一般論としては言えません。
自営業者にとっては、国民年金も国民健康保険もワンセットのような存在ですが、制度はまったく異なります。
年金は国が一元管理していますが、国民健康保険は自治体ごとに違います。国民健康保険税となっている自治体もあります。
クレジットカード引き落としに対応している国民健康保険は恐らくないものの、モバイルレジやYahoo!公金等の公共料金支払サイトで、納付書個別のカード払いができる自治体は存在します。
お住まいの自治体が対応しているか否か、各公共料金支払サイトで確認できます。
公共料金支払サイトを利用する場合、利用者負担の手数料が掛かります。
ポイント還元率の高いカードなら、手数料を支払っても損はしません。
楽天カードは、Yahoo!公金で支払っても還元率が5分の1になることが確定しています。避けたほうが無難です。
まとめ
この記事では、国民年金とクレジットカード払いについて解説しました。
最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
- 延滞分の国民年金は、クレジットカード払い不可
- 国民年金の納付書払いは、クレジットカード非対応
- ただし、コンビニと電子マネー等との組み合わせにより、間接的にカード払いが可能
- さらに、クレジットカードとの組み合わせにより、チャージ時のポイントが得られる
- 国民年金を引き落としにすれば、カード払い可能
- 最長2年の前納をすると、年金保険料が割引になる
- 前納時は金額が大きくなるので、カードの限度額に注意