「今すぐにお金が手元に欲しい」
「急な出費が重なり生活費が足りない」
などの緊急を要する融資が必要な時に、お金を早急に工面する方法として「クレジットカードの現金化」という言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。
しかし、「クレジットカードを利用して現金を手に入れる」と耳にしても、実際にどのような仕組みで行うのか知らない方が大多数と言えるでしょう。
それ以外にも、法律の観点から見て「クレジットカードを現金化する行為」はどうなのでしょうか。
この記事では、クレジットカードの現金化を総合的に解説するとともに債務整理との関係についても触れて解説していきます。
- お金に困っていて、クレジットカードの現金化を検討している
- クレジットカードの現金化がどのような仕組みなのかを知っておきたい
- クレジットカードの現金化にはリスクがあるのかを学びたい
上記に当てはまる方は、ぜひご覧ください。
目次
クレジットカードの現金化とは何か?
そもそもクレジットカードには、商品購入を後払いにできる「ショッピング」機能と、与信限度枠の範囲内でお金を借入できる「キャッシング」機能があります。
クレジットカードの現金化とは「ショッピング枠を現金化する行為」の総称であることを覚えておきましょう。
クレジットカード現金化の主な方法とは?
クレジットカードのショッピング利用枠を活用して現金を手に入れると説明しましたが、実際にどのような手順でクレジットカードの現金化を行うのでしょうか。
4つの方法を取り上げて解説します。
クレジットカード現金化の方法(1):買取式
買取方式とは、ブランド商品や金券といった換金率の高い商品をクレジットカード決済を用いて購入し、購入した商品を買取専門の業者に売ることで現金を入手する方法です。
業者の協力なしで自分ひとりで行える上に、時間を掛けずに現金を得られる方法のため手軽な方法として紹介されています。
買取式の具体的事例
買取式の具体例は以下となります。
- 高級ブランド店からクレジットカード払いで30万円のブランドバックを購入する
- 業者にブランドバックを20万円で買い取ってもらう
- 30万円が引き落とし日に引き落とされる
- 現金化には成功したが10万円の損失が発生する
現金化には成功しますが、トータルで見ると大きな損失が発生することを覚えておきましょう。
クレジットカード現金化の方法(2):キャッシュバック式
主に現金化を専門に行なっている業者が行なっている方法ですが、安い商品をあえて高額で購入してもらい購入特典と称して一定割合の現金を渡します。
発信媒体を利用している「現金化業者」は、この方法を利用している場合がほとんどです。
キャッシュバック式の具体的事例
キャッシュバック方式の具体例は以下の通りです。
- 業者からクレジットカード払いで40万円の時計(実際は安い商品)を購入する
- 同じ業者から商品キャッシュバックとして20万円と商品を受け取る
- 40万円が引き落とし日に引き落とされる
- 現金化には成功したものの20万円の損失が発生する
クレジットカード現金化の方法(3):買戻方式
販売業者が利用者に自店舗で販売している「買い戻し」または「返礼特約付き」の商品をクレジットカード決済で買ってもらい、手数料を差し引いた金額で特約ルールに基づいて商品を買い戻す方式です。
一度購入したものを計画的に返品する際に、手数料を差し引いた金額を現金で返す仕組みとなります。
クレジットカード現金化の方法(4):直接購入方式
直接購入方式とは、クレジットカード決済で現行紙幣・貨幣を購入することを指します。
クレジットカード現金化の違法性とは?
ここまで説明してきた「クレジットカードの現金化」の解説を見てきただけでも、正当な手法ではない印象を受ける方は多いのではないでしょうか。
しかし、実際に「クレジットカードの現金化」は明確な法律違反にはなっていません。
買取方式・キャッシュバック方式については行為だけを見ると「買い物をして、不要なものを売っただけ」という解釈が可能であるからです。
- 「目先の現金を手に入れるために金券を購入し、買取専門の業者に売却した」
- 「友人の結婚祝いにプレゼントしようと思って金券を購入したが、渡す予定がなくなり買取業者に売却した」
上記の2つを見ると感じるイメージに大きな違いがあります。
しかし、実際にこの2つで行われている「行為」そのものは同じです。
このような観点からも、適法・違法の線引きが難しいと言えるでしょう。
過去を振り返るとクレジットカードの現金化をきっかけにして摘発された事例もあります。
しかし、あくまで現金化する際の金利が法律が定める上限金利を超えたことが理由であり、現金化そのものを罰してはいません。
しかし、クレジットカード会社の規約には現金化を行うことは禁止と明記されており、規約違反に該当するため気をつけましょう。
法律的な観点で違法でないから、やっても大丈夫と思わないようにするべきです。
クレジットカード現金化によって起きる4つのリスクとは?
目に見えないクレジットカードのショッピング枠を、目に見える現金に変える行為には、いくつかのリスクが存在します。
ここからはそのリスクについて具体的に見ていきましょう。
リスク(1):金銭的に損をする取引であること
クレジットカードの現金化を利用すれば、手軽に現金を手に入れることが可能です。
しかし、どの方法を利用したとしてもクレジットカードで払った額より低い金額しか手元に残りません。
そのため、現金化を行えば行うほど負債が増加していくのです。
その損失額も、カードローンでキャッシングを利用してお金を借り入れた場合のリスクと比較しても大きいため大きな損失になることも知っておきましょう。
確かに手元に現金が入るまでのスピードは早いかもしれませんが、大きな損失を生む取り引きをしていることを頭に入れるべきです。
リスク(2):不正と認定されると一括返済を求められる
そもそもショッピング枠を現金に変える行為は、クレジットカード会社が規約違反として定めている行為です。
もしもクレジットカード会社に現金化が見つかった場合は、「利用停止」「クレジットカード解約」となる可能性があります。
また解約時には、利用分の一括返済を請求される可能性が高いです。
この状態に陥ると、現金化のための利用分だけでなく、通常の買い物からキャッシングでの利用分も一気に返済する必要があります。
現金が足りないから「クレジットカードの現金化」を行うため、一括返済になると返済できなくなってしまうことは想像に難くありません。
目先のお金を得るために、大きな負債を抱える可能性があることを覚えておきましょう。
リスク(3):犯罪・詐欺に巻き込まれる可能性がある
明確に法律で規制できないからこそ、悪質な業者が多いことが想定されます。
ショッピング枠を現金化する行為は、業者にカード会社・個人情報を提供することになり、詐欺・犯罪などに巻き込まれる入口になるリスクの高い行動であることを理解する必要があるのです。
法的にグレーゾーンであるからこそ、無法地帯であることを頭に入れなければなりません。
リスク(4):自己破産が難しくなる
クレジットカードの現金化は、破産法第252条第1項第2号にある「不当債務負担行為」と認定されることがあり、その場合は裁判所からの免責(借金返済免除の許可)が認められない場合があります。
クレジットカード現金化で大きな負債を抱えたとしても、自己破産を行えば大丈夫と考えている方は考えを改めた方が良いでしょう。
リスク(5):高額な手数料を取られる
クレジットカードの現金化を行いたい人の多くは「その日暮らしでお金に困窮している方」が想定されます。
なぜならお金に困っていなければ、自身の個人情報で登録したクレジットカードで現金化を行うリスクを取らないからです。
「今すぐにお金が欲しい」と考えている方を上手く利用して、現金化を行う業者は高額な手数料を設定している場合がほとんどです。
焦る気持ちを利用されて、現金化を行う業者に多額の手数料を搾取されていることを忘れてはいけません。
「クレジットカードの現金化」以外で問題を解決する方法とは
審査などもなく早急に現金を得られるため、「クレジットカードの現金化」を選ぶ方は多いです。
しかし、実際には多くの選択肢があるにも関わらず「クレジットカードを現金化するしかない」と考えて、1つの方法に固執してしまう場合も珍しくありません。
この項目では、お金に困っている人向けに「クレジットカードの現金化」以外で状況を解決する方法を解説します。
「現金」が早急に必要ならキャッシングがベスト
「クレジットカードの現金化」は早急に現金を手に入れられるものの、カード会社の規定で禁止されておりリスクが高いことに変わりありません。
現金を手に入れるスピード感と安心感を優先するのであれば、クレジットカードに付帯している「キャッシング」を利用しましょう。
クレジットカードのキャッシングとは、クレジットカードの与信限度枠内で借入を行える機能を指します。
キャッシングを利用すれば業者を介さないために高額な手数料を取られることもありません。
また最寄りのコンビニATMなどで融資を受けられて、返済も可能です。
支払いが難しいほどの債務を抱えているなら債務整理も検討する
そもそも支払いが難しいほどの大きな負債を抱えていて、その負債を返すために「クレジットカードの現金化」を行おうとしているなら危険です。
一時的には逃れられても、新たな負債が生まれてしまい状況が根本的に改善しません。
このような場合には、「債務整理」も視野に入れて動きましょう。
「債務整理」という言葉を聞くとネガティブに捉える方も多いですが、自身の生活を債権するために法的に認められた制度です。
「知らないから怖い」という状況をまずは卒業して「知った上で選択するかどうかを考える」ことが大切と言えるでしょう。
クレジットカード現金化と債務整理の関係とは?
もしもクレジットカードの現金化で多額の負債を作ってしまい、返済が難しくなった場合には債務整理を検討しなければなりません。
しかし、「クレジットカードの現金化」を行なっていることで債務整理ができるかどうかにも大きく関わってくることもあるのは事実です。
この項目では各種債務整理手法の紹介と「クレジットカードの現金化」をしてしまったことで起こることに触れながら解説します。
任意整理
「任意整理」とは、取引開始時にさかのぼって利息制限法で設定されている上限金利に金利を引き下げて再計算を行なって借金を減額します。
その上で金利をカットし、元本のみを3年程度の分割で返済する内容の和解を貸金業者と結ぶことで借金を整理する手続きです。
基本的には「利息カット」を行う債務整理手法であることから、他の手法と比較しても大きな減額効果は期待できません。
クレジットカード現金化が分かると和解が厳しくなる
もしもクレジットカードの現金化を行なっていた上で任意整理を行う場合、カード会社側と個別に交渉が必要になります。
しかしカード会社は現金化行為に非常に敏感です。
カード会社も現金化しやすい商品をある程度把握しており、頻繁な利用がある購入履歴には必ず用途を尋ねられます。
もしも現金化が判明した場合には和解そのものが厳しくなるでしょう。
直前の高額利用の取引は任意整理のメリットが薄れてしまう
クレジットカードの現金化を行うと「生活費を補うために少しづつ負債が増えた」ケースとは違い、「直近に高額な現金化を行なって債務が増えた」ケースに該当します。
任意整理とは「利息をカットする」仕組みであるため、「直近に債務が増えた」場合だと利息そのものが多くないため任意整理のメリットが薄れてしまうのです。
このような観点から「クレジットカードの現金化」と「任意整理」の相性は決して良いとは言えません。
個人再生
個人再生は、裁判所に再生計画の認可決定を受けて、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
基本的には借金総額の5分の1に減額されて、減額された借金をおおむね3年掛けて支払うことで、残りの債務は支払い義務がなくなります。
マイホームなどを保有している場合には、毎月の住宅ローンを支払い続けることで住宅などの資産を残しながら大きく債務を減らすことができるため、人気の高い手法と言えるでしょう。
クレジットカード現金化が問題になることはない
個人再生の場合には、現金化行為を行なっていたからといって手続上直ちに問題になることはありません。
そのため「クレジットカードの現金化」を行なった方にとっても、利用を検討するべき制度と言えるでしょう。
小規模個人再生の場合には注意が必要
小規模個人再生の場合、実際に個人再生を行うためには「債権者の過半数の同意」が必要になります。
現金化した信販会社が、この手続きに反対する可能性がありますが債権者数や負債総額が多い場合は、1社から反対されても大きな問題にはならないでしょう。
もしも多額の負債を現金化を行なった信販会社1社だけで作ってしまった場合には、個人再生手続きが行えない可能性があります。
自己破産
自己破産とは、借金を返済できなくなってしまった方が裁判所に申立てを行うことで、一定の価値がある財産を精算して債権者に配当します。
その後、裁判所から免責決定が出された場合は借金の返済義務が免除されるのです。
「全ての借金支払いを免除する」という強力な効果がありますが、その反面「5年〜10年は借入を行うことができない」「一定期間はローンを組むことができない」「住宅・車・土地などの資産を手放す必要がある」などデメリットもあります。
良い点・悪い点をしっかりと理解した上で手続きを進めるべきでしょう。
免責不許可事由に該当する
自己破産には「免責不許可事由」という「この項目に該当すると免責を認めない」というルールが定められています。
クレジットカードの現金化は「免責不許可事由」に該当する可能性があり注意が必要です。
ただし、現金化行為を行なっていたとしても必ず免責不許可になる訳ではありません。
裁判所の判断で「裁量免責」として、自己破産ができる場合も多いです。
そもそも自己破産は「経済的な更生」を目的としていることから、厳しく免責不許可を行うと経済的な復活の機会を完全に奪うことになります。
あくまで「更生制度」として存在していることから「裁量免責」が採用されているのです。
管財事件となり予納金が高額になる場合もあり
もしも裁判所から「裁量免責」として認められたとしても、その前提として管財事件として扱われる可能性が上がります。
管財事件になると財産がない場合でも免責を調査するために破産管財人を選任することになるのです。
管財事件になると「予納金が高くなる(20万〜50万円程度)」「郵便物が管財人に転送される」などのデメリットが発生するので覚えておきましょう。
クレジットカードの現金化は絶対NG!まずは「減額診断」からスタートしよう!
この記事ではクレジットカードの現金化の細かな解説と、債務整理との関係についても触れてきました。
以下は、本日のまとめです。
- クレジットカードの現金化とは「ショッピング枠を現金に変える行為」である
- 広告宣伝を行う業者の多くは、キャッシュバック方式を採用している
- クレジットカードの現金化は法律的にグレーゾーンである
- 現金化は金銭的に大きな損失を被る取引である
- クレジットカードの現金化は債務整理にも大きな影響を与える
クレジットカードの現金化は結果的に大きな損失となる取引であるため、決しておすすめはできません。
「クレジットカードの現金化」を行なっている場合には債務整理手法によってはメリットが得られない場合もあるでしょう。
債務整理を行う場合には「借金減額診断サービス」を利用する、「弁護士に相談する」等を活用しながら、効果の高い方法を選択することが求められます。