
SuicaとPASMO。関東にお住まいの方なら、あのJR東日本や私鉄などの乗車定期券が搭載できる電子マネーカードとすぐ分かりますね。
しかし、SuicaとPASMOの違いを理解している方は意外と少ないのではないでしょうか?
最近ではそれぞれが他の流通系カード、クレジットカード会社と提携したりもして使い勝手も格段によくなっています。
今回はSuicaとPASMOの違いや、一体型クレジットカードのポイント積算についてご紹介します。
目次
SuicaとPASMOの違い
SuicaはJR東日本、PASMOは私鉄などの連合組織が発行している交通系電子マネーです。
乗車券をIC化したカードに先にチャージして利用するので、いずれもプリペイド型の電子マネーカードということになります。
SuicaやPASMOを改札にタッチすれば通れるので非常に便利で、関西ではICOCAカードなどが有名ですね。なお、SuicaとPASMOには大きく3つの異なる点があります。
1.発行会社が違う
一番の違いはご存知のように発行会社が違うという点です。
SuicaはJR東日本が最初に採用したIC式の電子マネー付き定期券からスタートしています。
一方、PASMOは関東の私鉄や東京メトロ、都営地下鉄、さらに民間のバス会社などが中心になって作られたもので、それぞれの電子マネー付きICカードに定期券が搭載されたものです。
どちらも、定期券機能やチャージ機能のあるICカードですが、SuicaやPASMOが一体型のクレジットカードも存在します。
2.モバイル利用の有り/無し(ApplePay対応など)
モバイルSuicaアプリを使えばスマホに搭載できるため、スマートフォンを改札口にかざすだけで通ることができるのです。
ApplePayにも対応しているので、iPhoneやApple Watchでも利用可能ですよ。
一方、PASMOでも、おサイフケータイ対応のAndroid6.0以上の端末、iPhone8以降のiPhoneもしくはiPhoneSE(第2世代)で利用可能な「モバイルPASMO」を展開しています。
スマートフォンでPASMOの機能をそのまま利用できるほか、定期券の購入やオートチャージの申し込みなども可能。
万が一、スマートフォンを紛失しても手数料無料で再発行してもらえるため安心して利用できますよ。
モバイル版アプリ | Apple Pay | Google Pay | 他社アプリ(Android端末のみ) | |
Suica | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
PASMO | 〇 | 〇 | 〇 | ー |
※表は右にスクロールできます
参考:JR東日本「モバイルSuica」/PASMO「モバイルPASMO」
3.知名度(発行枚数)の違い
2025年3月時点でSuicaの発行枚数は11,231万枚、「モバイルSuica」の発行枚数は3,347万枚なので、2023年7月時点でのPASMOの約4,300万枚と比較すると倍以上発行されています。
当然これは知名度にもつながっており、Suicaは関東以外でも使用できるところがたくさんあります。
以前は、Suicaに比べ利用可能なエリアが狭く利用しにくかったPASMOですが、現在はSuicaエリアでも便利に利用できます。(※一部、ご利用いただけない路線もあるため、各鉄道・バス事業者への確認が必要)

SuicaとPASMOでは利便性にはほとんど差がありませんが、メリットが異なるので自分のライフスタイルに最適な1枚を選ぶか、2枚を必要に応じて使い分けるのもおすすめです。
参考:JR東日本「Suica・金融ビジネス」/日本経済新聞「記名式Suica・PASMO、8月2日から販売中断 半導体不足」
SuicaとPASMOそれぞれのメリット
SuicaとPASMOは同じ交通系ICカードですが、それぞれ異なるメリットがあります。
Suicaのメリット①:クレカ機能なしでも電子マネー決済でポイントが貯まる
Suicaでは、まだまだクレジットカード機能のないSuicaカードが一番普及しています。
「Suica定期券」や「My Suica(記名式)」でリライト機能がありますし、紛失した場合には再発行もできるのはご存知ですね。
これらクレカ機能のないSuicaも乗車時だけでなく、提携しているお店で電子マネーとして決済ができ、その際にもポイントを貯めることができます。
貯まったSuicaポイントは乗車賃や買い物にも利用できるので、普段からよく電車に乗る方にはとてもお得です。
なお、「JRE POINT WEBサイト」にSuica、またはモバイルSuicaを登録しないとポイントは一切たまらないので注意しましょう。
Suicaのメリット②:地方でも認識してくれる人が多い
Suicaは電子マネーとしても古くからあるだけに、全国的に知名度が高いです。
北海道から九州まで、地方に行っても買い物における電子マネーとして認識されています。その地方の交通系ICカードと相互利用ができるので非常に利用範囲が広く、どこに行っても使えるでしょう。
ただし、SuicaのIC定期券機能はエリアをまたがっての利用はできないので、異なるエリアまで行く場合は切符を購入する必要があります。
PASMOのメリット①:PASMOはさまざまな路線で乗車ポイントが貯まる
SuicaがJR東日本の鉄道や対象店舗での利用でポイントが貯まるのに対し、PASMOは東京メトロや京急、西武鉄道など対象の路線での利用で乗車ポイントが貯まります。
貯まるポイントや条件は各路線によって異なるので注意。
例えば、西武鉄道の場合、西武鉄道アプリに登録したPASMOを利用して1回乗車するだけで最大15ポイントもらえます。

貯まったポイントは1ポイント=1円でPASMOにチャージしたり、西武プリンスクラブ加盟店で利用できるのでお得にポイ活することも可能です。
PASMOのメリット②:バスの乗車でもポイントが貯まる
PASMOは複数の鉄道・バス事業者が加盟している会が発行しているので、会社によってはバスの乗車でもポイントを貯められます。
■ 例:小田急バスの場合

SuicaはJR東日本が発行しているICカードなので、基本バスの乗車ではポイントが貯まりません。
ポイントが貯まる路線バスは限られていますが、普段からそのバスを利用している方ならお得に乗車できるでしょう。
SuicaとPASMOどっちを選べばいい?目的別に紹介
SuicaとPASMOの違いやそれぞれのメリットを解説してきましたが、それでも「自分はどっちを選べばいいのだろう?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
ここでは、「通勤・通学」や「旅行」と利用目的別の選び方を紹介します。
また、SuicaとPASMOを併用する場合のメリットもあわせて解説するので、どちらを選べばいいか迷っている方は参考にしてください。
通勤・通学で利用する場合
まずは、通勤・通学で利用する場合の選び方です。選ぶ基準の1つは、利用する路線が「JR」か「東京メトロ・私鉄」どちらが中心かです。
利用する路線がJR
自宅最寄り駅から勤務先・学校最寄り駅までJRの路線を多く利用するのであればSuicaを選びましょう。
乗車ポイントが貯まりやすいだけでなく、駅構内の対象店舗でのお買い物でもポイントが貯まります。

また、貯まったポイントは1ポイント=1円としてSuicaへチャージできるので、お得に電車にのることができます。
利用する路線が東京メトロや私鉄
勤務先や学校までに利用する路線が地下鉄や私鉄の場合はPASMOを選ぶのがおすすめです。
PASMOはSuicaと違い、複数の鉄道・バス事業者が加盟している会が発行しているので、貯まる乗車ポイントも利用する路線によって異なります。
- 東京メトロ
- 西武鉄道
- 東急線
- 小田急線
- 京王線 など
旅行で利用する場合
全国各地への旅行でどちらのICカードを発行しようか迷っている人は、「新幹線の利用」に焦点をあてて考えてみましょう。
旅行先の在来線の乗車はSuicaもPASMOも利用できるので、正直どちらを選んでもあまり変わりはありません。
しかし、例えば「タッチでGo!新幹線」対象エリアへの旅行で新幹線を利用する場合、Suicaであれば新幹線の自由席予約や発券をする必要なく乗車でき、乗車ポイントも貯まります。

お得に乗車できるのはもちろん、利便性も抜群なので「タッチでGo!新幹線」エリアへの旅行を考えている方はSuicaを選ぶのがおすすめです。
SuicaとPASMOは併用も可能!2枚持ちするメリット
ここまで、SuicaかPASMOどちらを選ぶべきか解説してきましたが、併用(2枚持ち)することも可能です。
特に、普段から駅までバスを利用している方は、バス利用でもポイントが貯まるPASMOと電車利用でポイントが貯まるSuicaなどで使い分けているようです。
また、ポイ活をしている方はよくお買い物するお店がどちらかのポイント付与対象であった場合、使い分けた方が無駄なくポイントを貯めることができます。
断然どちらかの方がお得!というわけではない場合は無理に選ぶのではなく、併用するのも一つの選択肢であるということを覚えておきましょう。
クレジットカード一体型Suica/PASMOのポイント比較
最近はクレジットカード一体型のSuicaやPASMOがあり、どちらもオートチャージ(残高が減ったら自動的に補充)ができます。
オートチャージ機能にすると、チャージされた金額が少なくなった時に自動的にクレジットカードからお金が補充され、お得にポイントを貯めることも可能です。
ただ、両者にはオートチャージやカードを利用した際のポイントの還元率に差があります。
オートチャージでのポイント還元率比較
Suicaでオートチャージをするためには、ビューカードやその提携会社が発行している一体型クレジットカードを持つ必要があります。

改札口でSuicaカードをかざす際にオートチャージが行われ、ポイントが貯まります。
Suicaのオートチャージによるポイントは、1,000円につきJRE POINT15ポイント(ポイント還元率1.5%)が貯まります。
JRE POINTは「1ポイント=Suica1円分」としてチャージ、もしくは加盟駅ビルの店舗で利用できるので、仮にSuicaに1,000円オートチャージされると15円分のポイントが還元される仕組みです。
一方、クレジットカード一体型のPASMOの場合は、オートチャージした際にそのクレジットカードにポイントがつきます。
改札口でPASMOカードをかざした際に、一定額よりも金額が少なくなっていた場合にそのクレジットカードでオートチャージされる仕組みです。
PASMO一体型クレジットカードは一部を除いてほぼすべてがオートチャージに対応しており、多くの場合0.5%の還元率でポイントが付きます。
では、SuicaとPASMOそれぞれの代表的な一体型クレジットカードで例を見てみましょう。
参考:ビューカード「オートチャージのご利用・設定」/東急カード「電車・バスで貯める」
例①:ビューカード スタンダードのシミュレーション
Suicaのオートチャージはカードに残金が一定金額以下になると、予め設定した金額が自動的にクレジット決済で入金されます。
設定できるのは1,000円から10,000円となっています。
ビューカード スタンダードのオートチャージの場合には、1,000円につきJRE POINTが15ポイント(15円分)もらえます。
例②:OPクレジットカードのシミュレーション
PASMO一体型クレジットカード「OPクレジットカード」では、残金が2,000円以下になるとクレジットカードから3,000円分オートチャージされる設定になっています(初期設定)。
オートチャージで還元されるポイントは0.5%なので、3,000円チャージの場合は15円分ポイントが還元されます。
1,000円あたり5円還元される計算のため、Suicaの15円と比べると還元率は低いと感じるでしょう。
なお、TOKYU CARDを利用した場合でも1,000円あたり10円分の還元ですから、Suicaの還元率には及びません。
カード決済時の獲得ポイント比較
SuicaとPASMOそれぞれの一体型クレジットカードは、オートチャージだけでなく買い物などのカード決済でもポイントが付与されます。
SuicaはJRE POINTに登録する事ができ、登録したSuicaをJRE POINT加盟店で利用することでポイントを貯める事が可能です。
クレジットカード機能やSuica機能を使って加盟店で買い物をすると100円ないしは200円で1ポイントが貯まりますよ。(カードによって異なる)
一方、PASMOはソラチカカードの場合「メトポ」というポイント制度のほか、カード会社のポイントがあり、1,000円につき1ポイント貯まります。(1ポイント=4~5円相当)
それぞれカードによって貯まるポイントや換算率が異なるので、自分の普段の生活に合わせて得するカードを選びましょう。
クレジットカード一体型Suica/PASMO、持つならどっち?
では、このクレジットカード一体型のSuicaとPASMOはどちらを持った方がお得なのでしょうか。
最近は両方ともに互いに乗り入れができるようになっていて差は少なくなっていますが、それでもポイント還元率の差やオートチャージでの違いがあります。
Suica一体型クレジットカードはこんな人におすすめ
Suicaはポイント還元率で見ると、東京メトロ・東急・西武鉄道をよく使う方以外の場合、ポイント制度やオートチャージのポイントなどの点でメリットが大きいと言えます。
それが、歴史だけでなくSuicaの発行枚数がPASMOの倍以上になっている要因とも考えられるでしょう。
以下に代表的なSuica一体型クレジットカードをご紹介します。
ビューカード スタンダード
Suica機能が付いたクレジットカード。オートチャージで楽々、ポイントも貯まる心強い通勤の味方。
- 電子マネー
初年度年会費 | 2年目~年会費 | 還元率 | 電子マネー等 |
年会費524円(税込み) | 年会費524円(税込み) | 通常0.5%~最大5.0%※ | ![]() |
<利用例>
モバイルSuicaにてモバイルSuicaグリーン券を購入した場合、VIEWプラス3%+えきねっと2%=合計5%となります
※事前にJRE POINTへの会員登録およびSuicaの登録、モバイルSuica会員登録が必要です
イオンSuicaカード
Suicaとイオンカードが一体になり、デポジット無料でSuicaが使える一枚。JR東日本の窓口でも楽々。
- 電子マネー
- 買い物◎
初年度年会費 | 2年目~年会費 | 還元率 | 電子マネー等 |
無料 | 無料 | 0.5~1% | ![]() |
ルミネカード
ルミネ・NEWoMan・ネット通販アイルミネを利用者には特におすすめのビューカード。通勤のお供にも。
- スピード発行
- 電子マネー
- お買い物
初年度年会費 | 2年目~年会費 | 還元率 | 電子マネー等 |
無料 | 953円 | 0.5~1.84% |
![]() |
PASMO一体型クレジットカードはこんな人におすすめ
PASMO一体型クレジットカードは、やはりポイント還元率の良い東京メトロ、東急、西武鉄道などの沿線圏内に住み、この電車をよく使われる方に向いていると言えます。
以下に代表的なPASMO一体型クレジットカードをご紹介します。
ソラチカカード
ソラチカ一般カード(ANA To Me CARD PASMO JCB)
ポイントサイトでのポイ活→ANAマイルを貯めるなら必携の一枚。PASMO一体型で通勤・通学にも。
- マイラー
- 電子マネー
初年度年会費 | 2年目~年会費 | 還元率 | 電子マネー等 |
無料 | 2,200円 | 0.50~1.00% | ![]() |
JALカード TOKYU POINT ClubQ
マイルやTOKYU POINTを上手く利用してショッピングや旅行を楽しめる。
- マイラー
初年度年会費 | 2年目~年会費 | 還元率 | 電子マネー等 |
無料 | 2,200円 | 0.50%~1.0% | - |
ただ、電子マネーは日々進化しており、今後さらに差が無くなっていく可能性もあります。
常に特典などに目を配り、自分に合ったメリットの大きいカードにいつでも切り替えられるようにしておきましょう。
まとめ
今回はSuicaとPASMOの違いについてご説明しました。
現時点では歴史の古いSuicaの方がポイント還元、利便性などにおいて優れている面は多いと言えます。
ただ、電子マネー、IC技術は日進月歩で進化していますので、より使い易いカードを持てるように目を配っておく必要がありそうです。
また、Suicaのチャージ残高で新幹線に乗れる「タッチでGO!新幹線」も、とても便利なサービスなので検討材料のひとつとして参考にしてください。
今後ますます、利用機会が増えるかもしれませんね。